衝動的に湧き上がるイライラを抑えきれずに、八つ当たりをしてしまう。
怒りを抑えようにも、気持ちの切り替えがうまくいかず、ムスッと顔に出てしまう。
怒りの感情は毒ガスのように、その場の空気を重くして、一緒にいる人たちに緊張や不快感を与えます。
同時に、自分でも気付かないうちに、怒りの感情は自分自身を傷付けていることもあるんです。
しかし、怒りの感情は本能に備わっているものなので、悪い事ではありません。
どうにか怒りの感情をコントロールして、辛い現状を変えていきたいですよね。
この記事では改めて怒りの感情の理解を深めて、上手く向き合っていく方法をご紹介します。
怒りが及ぼす影響
怒りの感情は人間の本能に備わっているものなので、怒りの感情自体は問題ではありません。
ただ、過剰なほどの怒りに駆られる、怒りがなかなか引かず気持ちの切り替えができない、
怒りで思わず手が出たり・暴言が出てしまうようになってしまうと、さまざまな問題が出てきます。
人間関係が悪くなってしまったり、仕事もうまくいかない。
何もかもが嫌になって、自暴自棄になってしまうということもあるかもしれません。
そういった怒りは、相手を肉体的、精神的に傷付けてしまうし、
自身の心身にも悪い影響を与えて、どんどん落ち込んでいってしまうでしょう。
怒りも必要な感情
怒りは相手も自分にも悪い影響を与えてしまう感情ですが、
怒りを含めたネガティブな感情が現れた時は、心身の危険を知らせるサインでもあります。
例えば、毎日残業続きで、あなたにダメ出しばかりをする上司がいたとします。
あなたは、だんだん会社に行くのがおっくうになり、出勤前にお腹が痛くなったり、
上司に怒られるのが嫌で、不安な気持ちや恐怖心が大きくなっていく…
後輩のちょっとしたミスにイライラしたり、余裕がなくなっていくでしょう。
このようにストレスが溜まった時に感じるイライラは、その場所や状況から距離を置いて、
ストレス解消をしたり、リラックスが必要だということを知らせてくれるサインといえます。
怒り・不安などのネガティブな感情は、心や体を守るための本能からくるもの。
ネガティブな感情は自分を守るために必要な感情なので、否定をする必要はありません。
怒りをぶつけることで得るものとは?
実は、怒りの感情を言葉や態度で表している時、爽快感や優越感を感じていることがあります。
みんなが「そうだ!そうだ!」と賛成や同意の反応をしてくれると、
“正義”という大義名分を主張でき、自分の感情や意見を正当化することができるからです。
Twitterやインスタグラムなどで「いいね」ボタンで共感をしてもらえると嬉しいですよね。
その時の感覚と似ているかもしれません。
周囲の人から認めてもらえて、自分の居場所ができたような、安心を感じることもあるかもしれませんね。
しかし、どんなに正論を述べた所で、怒り任せに一方的に主張した場合と、
冷静に相手の主張と自分の主張から整合性を持って、意見を述べた場合とでは、
前者にはあまり共感も納得もしづらく、後者には相手の意見を尊重した上での正当な話し合いができそうだと感じませんか?
同じ主張をしたとしても、怒りの感情が伴うことで周囲に与える印象に大きな差がありますよね。
イライラするのはどんな時?
イライラする時の原因になっているものは主に
- 相手に嫌なことをされたとき
- 共感や理解をしてもらえなかったとき
- 約束や期待を裏切られたとき
- 自分のことを否定されたり、見下されたとき
このような時にイライラを感じやすいかと思います。
あなたも一度、どんな時にイライラしやすいのか考えてみてください。
怒りの感情というのは、第二次感情と言われています。
第二次感情とは、怒りとは別のネガティブな感情である
- 悲しい
- 辛い
- 不安
- 悔しい
これらの感情が溜まりにたまって、溢れたものが怒りの感情となって爆発します。
怒りは突然降ってわいた感情ではなく、怒りの裏には別の感情を感じているということになるのです。
あなたの「怒りスイッチ」が入るきっかけを知る
コントロールできないほどの怒りを感じてしまうのには、性格も関係しています。
- 固定観念(思い込み)が強い
- 完璧主義
- 理想やプライドが高い
- 自分ルールが多い
- 我慢しすぎ
- 思っていることを言えない
- 嫌なことを思い出しては、何度も考えてしまう
- 自己嫌悪が強い
- ストレスが溜まっている
- 心配事、気がかりなことが多い
- 睡眠不足
このような性格の人は、ストレス発散がうまくできずに、怒りの感情をため込みやすい特徴があります。
抑えようとしている感情は怒りだけではなく、その裏に溜まりにたまった
ネガティブな感情全てを抑え込もうとしているわけですから、コントロールできなくて当然だと思います。
完璧主義
完璧主義であることは、自分も理想や目標に向かって、着実に地道な努力を続けていく強さがあります。
だからこそ、思い通りに物事が進まないと、イライラしてしまうことが多くなってしまいませんか?
こうであるべき・このやり方でなければいけないという、自分ルールに囚われてしまいがちで、
まだまだ努力が足りない・もっと頑張らくちゃと、ストイックになりすぎてしまう傾向にあります。
気持ちの切り替えがうまくできない
理想やプライドが高かったり、過去のネガティブなことを思い返しては、いつまでも引きずってしまうということも原因の一つです。
失敗を恐れたり、恥ずかしい思いをした経験などが忘れられず、
あの時はこうすればよかった・なんであんなことをしてしまったんだろうと、いつまでも思い返しては後悔するというループにハマって
「自分はできない人間だ」
「こんな失敗をしたのは、あの人のせいだ」
と、自己嫌悪に陥っったり、人のせいにして、恨めしい気持ちにさいなまれてしまいます。
ストレスが溜まっている
ストレスは、ほとんどの人が感じるものだと思います。
イライラしやすい人と、そうでない人の違いは、ストレス発散が上手くできているかどうかではないでしょうか。
趣味や自分をリラックスさせるツールを持ってれば、気持ちの切り替えをすることができます。
仕事が辛かったとしても、適度な息抜きをすることで、上手く活力を補うことができるのですね。
ストレスの発散が上手くできない、自分に合ったストレス解消法がよくわからないという場合、
ストレスが溜まる一方なので、収まりきらなくなった感情は、セキを切ったように
溢れ出し、コントロールが利かなくなってしまうのです。
睡眠不足
睡眠不足だと、脳がうまく働かないので、冷静に判断することが難しくなります。
睡眠不足だけでなく疲れや体調不良だと、余裕がなくなりイライラしやすくなるものです。
イライラをコントロールできるようになるために
怒りの感情を感じた時は、ただ気が済むまでイライラを感じるのではなく
なぜこんなにイライラしているのか原因を探るクセを付ける練習をしていくと、徐々に怒りをコントロールしやすくなっていきますよ。
始めにしたいこと
怒りを感じた時に「いちいちイライラしてしまう自分はダメだ」と否定をする必要はありません。
どんな感情を感じても良いのだと、自分を許して、イライラしてしまう自分を受け入れるようにしてみてください。
イライラがコントロールできなくなってしまうのは、上記で説明したように
完璧主義や自分に厳し過ぎるという、性格特性が原因になっていることがあります。
つまり、頑張りすぎているということ。
「このくらいできて当然。だからあなたもできて当たり前」
「なんでそのくらいできないの?常識でしょ?」
と、上手くできない自分のことを追い詰めてしまったり、できない相手にイライラしやすくなります。
自分に我慢を強いて、厳しいルールを課しているということは、相手にも同じことを求めてしまう傾向があるのです。
しかし、自分を許して、イライラしてしまう自分を受け入れるというのは、簡単な事ではありません。
すぐにできるようにはならないので、否定してしまいたくなることがあっても
とりあえずでもいいので、「これでいい。イライラしてもいいんだよ」と
自分に言い聞かせてみてください。
最初は、自分は何をやっているんだか…と、ばかばかしい気持ちが出てくるかもしれませんが、
あなた自身が、自分を受け入れるということが大切なのです。
怒りのコントロール方法を「アンガーマネジメント」という
最近、ビジネスの場でも取り入れられるようになってきた、アンガーマネジメント。
アンガーマネジメントとは、アメリカで開発された怒りをコントロールするための心理プログラムのことです。
ビジネスだけでなく育児の場やあらゆる人間関係の対しても、十分に役立てることができます。
私は、子供のうちから徐々にできるように教えるべきと感じています。
お子さんをお持ちであれば、一緒に訓練できるようにしていくといいですね。
アンガーマネジメントは講習会や書籍で学ぶことができます。
しかし、実生活に役立てるためには、ひたすら習得できるように訓練し続けなければなりません。
ある程度習得できても、人間ですから八つ当たりをしてしまうことはあります。
ずっと、意識し続ける持久力や忍耐力が必要になってくると言えるでしょう。
アンガーマネジメントを行う上で、代表的な方法が下記の3点です。
- 6秒我慢する
- 深呼吸をする
- その場から離れる
6秒我慢する
怒りを感じたらまずは、何も行動せず発言せずに、6秒間だけ我慢するというものです。
突発的な怒りは6秒ほどで治まると言われています。
怒りに任せて行動や発言をすることで、怒りが怒りを呼び、状況は悪化していく一方です。
無理にイライラしてはいけないと意識する必要もなく、ただ数だけを数えるようにしましょう。
徐々に怒りが治まり、冷静になれそうであれば、このやり方を取り入れてみてください。
もし、この方法を試しても、怒りが増幅する、全然効果を感じられないという場合は、
こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
アンガーマネジメントやっても【6秒で怒りがおさまらない】別の方法試してみて!
深呼吸する
怒りを感じる時は、呼吸が浅くなる傾向が。
深呼吸には副交感神経を高め、心身をリラックスさせるはたらきがあります。
イライラを感じたときは、
⇓
8秒かけてゆっくりと吐くこれを、怒りがある程度治まるまで、繰り返してみてください。
呼吸に集中することで、怒りの感情を客観的に捉えられたり、冷静さを取り戻すことができます。
その場から離れる
自分の目の前に怒りの原因があるときには、6秒数えても、深呼吸しても怒りが治まらないことがあるかもしれません。
そんな時は、その場から離れてみてください。
まずは状況を変えて、自分の気持ちを落ち着けることを優先することが大切です。
それでもイライラが治まらない時は
上記のことを試しても、上手くいかないことがあります。
私は、2人の子供の子育て中ですが、上手くいかないその一人です。
6秒では足らず、10秒…20秒と数えても、イライラは治まらない。
その場から離れたくても、子供は必死にしがみついて離れようとしません。
無理矢理にでも部屋にこもることができたとしても、泣き声が聞こえるので、胸が締め付けらてとても辛かったです。
「ひどい母親だ。そんな自分が許せない」
「でも、どうしたら良いのかわからない」
そんな状況だった私は、あらゆる心理学や自己啓発系の記事を読み漁って得た方法を片っ端から試して、
ある程度怒りの感情をコントロールできるようになってきました。
アンガーマネジメントの方法は、たくさんあります。
数ある中から、あなたに合ったものを探してみてくださいね。
客観的に見る(俯瞰する)
どうしようもない怒りを感じている時は、その感情にどっぷりと浸かっている状態です。
まずは、自分の置かれた状況を客観的に見るように意識をすることが大切です。
そうすることで、冷静になれて、感情をぶつけても何の解決にもならないこと、
自分は今、どうすべきか正しい判断をして行動できるようになります。
これも、なかなか難しいのですが、
最初は「あっ!今、自分はイライラしている」
「何がきっかけで、イライラし始めたのか」
「どうしたら、イライラしないで済むのだろう」
と、考えてみてください。
このクセを付けていくと、徐々にできるようになっていきますよ!
考え方や価値観を変えてみる
怒りは、「~べき」という自分の理想が思い通りにならないときに感じやすいです。
思うようにいかないとき、相手が期待通りの言動をとってくれなかったときなどに、怒りを感じることが多いと思います。
しかし、相手の意識や性格を変えることは大変難しいです。
そのため、自分の思考を変えて、「これでいい!大丈夫!」と、ゆる~く考えるようにしてみてください。
理想と現実の差が大きいほどストレスを感じるので、その差を少なくすることができます。
完璧に理解してくれる人はいないと割り切る
人はすぐに、正しいのか間違っているのかと、判断をくだしたくなります。
しかし、世の物事には、完璧な正解はないことが多いです。
自分にとっては正しいことであっても、相手にとっては正解や正ではないこともある。
理解力や、解釈の仕方は千差万別でたとえ、共感や支持をしてくれたとしても、自分と全く同じように解釈ができているかはわからないのです。
そのことを、理解しておくと、必要以上に相手に期待しすぎてプレッシャーをかけてしまうことがありませんし、
ちょっとしたミスを許すこともできるようになっていきます。
「みんな違ってみんないい」と優しくおおらかな気持ちでいることができますよ。
感情をコントロールするために毎日できること
感情をコントロールするために毎日できることを紹介します。
自分を癒せることをする
ストレスを感じない生活を送るのは、不可能に近いのではないでしょうか。
その中で、ストレスを上手く発散する術を持っておくのはとても大切な事です。
プライベートな時間は、とことん自分を癒す時間に使うようにしていきましょう。
だからと言って、ショッピングに映画、エステに旅行と予定を詰め込む必要はありません。
何もせず、のんびりコーヒーをゆっくり飲む。
近所を散歩する。
このような過ごし方も、とても癒されますよ。
私の話ではありますが、土日の休みの日の朝は、おにぎりとお茶を持って、
近所の公園に子供と朝ご飯を食べに行きます。
小さい公園だと他の方がいると気まずいので、広い原っぱがあるところ、緑が多いところへ行きます。
朝の空気や朝日を浴びながらゆっくり食べるおにぎりは、とても美味しく感じられて、癒されます。
睡眠を十分に取る
なるべく仕事が休みの時であっても、睡眠時間は一定に保つようにしましょう。
十分に睡眠時間が取れたとしても、寝つきが悪かったり、目覚めが悪い時は、質のいい睡眠がとれていないということになります。
睡眠不足もストレスの原因になりますし、体がイマイチすっきりしていないと、イライラもしやすくなります。
日々の体調を整えることも、アンガーマネジメントの一つと考えておきましょう。
瞑想をする(「今」に集中する)
怒りの原因について考えることはとても、精神的に負担がかかります。
辛い時は一旦原因を探るのをやめて、五感に意識を集中してみてください。
- 深呼吸をして空気が体の中を出たり入ったりする感覚
- お腹や肺が膨らんだり、しぼんだりする感覚
- 外の車の音や鳥の声に耳を澄ませる
このように、今この瞬間に感じられるものだけに意識を集中させるのがコツです。
この方法は、怒りの感情だけではなく、悲しみや嫉妬心などのネガティブな感情を切り離す訓練としても役立ちます。
激しい怒りを感じている時以外に
- 心配事や気がかりなことで最近眠れていない
- 嫌な出来事が頭から離れない
このような時も、試してみてはいかがでしょうか。
医療機関を頼る方がいい場合
怒りは誰にでも備わっている感情なので、訓練次第でコントロールができるようになります。
しかし、次のような特性や症状、精神疾患が原因の場合は、アンガーマネジメントの訓練を行っても難しいことがあります。
もし、何を試してもうまくいかない、辛い場合は、医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。
ADHD・発達障害の傾向がある
ADHDや発達障害の症状の一つに、
- 衝動的に行動しやすい
- 急な予定変更に柔軟に対応できない
- 気分を切り替えられない
- 感情や状況を上手く説明できない
という特徴があります。
ADHDや発達障害の傾向がある場合、行動や感情のコントロールをすることが苦手なことが多く、
すぐにカッとなり乱暴な行動をとってしまうことも。
どのようにアプローチしていくといいのかも個人差があるので、医療機関や専門機関の指導の元で行う方が効果的なことがあります。
うつなどの精神障害の傾向がある
うつと一言に言っても、さまざまなものがあります。
- 双極性障害(躁うつ病)
- 統合失調症
- 不眠症
- 強迫性障害
- PMS/PMDD(月経前症候群/月経前不快気分障害)
これらの症状は、気分の浮き沈みが大きく、衝動的な怒りを感じやすい傾向があります。
アンガーマネジメントを学ぶ
アンガーマネジメントの学び方としては、書籍や講習会・通信講座で学ぶ方法があります。
書籍を利用して独学で学習すれば、お金はそれほどかかりませんが、
できているのかどうか実感を得られなかったり、継続するのが難しいかもしれません。
効率的に学びたいのであれば、講習会や通信講座を利用するといいでしょう。
アンガーマネジメントの資格取得を目指すことができる講座もあります。
アンガーマネジメントのおすすめ書籍
私がおすすめする、アンガーマネジメントの書籍を紹介します。
1.反応しない練習 Amazon
ブッダの教えによる、アンガーマネジメント法。
ブッダの教えをわかりやすく、解説しています。
改めて、自分を見直すきっかけとなる本です。
2.自分の「怒り」タイプを知ってコントロールする
はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック
怒りのスイッチは人それぞれですよね。
誰かから、こんな方法はどう?とアドバイスされても、うまくいかないことはよくあります。
それは、自分が自分を理解しきれていないから。
この本で、自分で自分の怒りスイッチを探すことができれば、アンガーマネジメントを使いこなせるようになるかもしれませんよ。
アンガーマネジメントの通信講座
仕事や育児で忙しくても、通信講座は時間の融通が利くので、資格取得を目指すこともできます。
アンガーマネジメントの資格は、在宅受験で取得可能な講座もあります。
資格取得までしっかりと学習することにより、ビジネスや育児が楽になるかもしれません。
まとめ
衝動的な怒りを感じると、相手だけでなく自分自身も傷付き、疲弊してしまいます。
アンガーマネジメントなどのコントロール方法を試してみて、怒りに振り回されない訓練をしてみましょう。
自分に合ったストレス発散法を見つけるのも、状況を良くする方法の一つです。
できない自分を責めるのはやめて、まずは自分をほめて優しくしてあげる事から始めてみませんか?
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